筋緊張

それでは皆さん

インターネットで

筋緊張

と調べてみましょう。

いかがでしょうか?

Googleで

筋緊張

と検索してみると

どうなるでしょうか?

トップに何が表示されますか?

筋緊張 - Wikipedia

と表示されるのではないでしょうか?

実はこれを編集したのは

Mizuki Shirai 氏。

ただ…これは編集して載せてくれただけ…

だけ…とは言ってもそこがスゴいところ…

何つったて私が作った資料を載せてくれたんですから。

当時は載せることの意味を

あまり理解していなかったのではないでしょうかね。

ここ最近になっていろんな情報をアップすることの

重要性や価値の高さを実感していますので

今やらなければいつやるんだ?

ということで

私が2年ほど前に作った筋緊張についての資料を

アップしたいと思います。






―筋緊張の本質と痙縮・固縮のメカニズムについて―
 &
―痙縮の治療とは―



Ⅰ.はじめに

これまで私は“筋緊張”という語を気兼ねなく使っていた.今回の臨床実習においても実習開始2日目のデイリーノートに“筋緊張亢進”という表現を何気なく使っていた.その時,バイザーの先生から「筋緊張亢進というのはどういった現象か?筋緊張の定義とは?」という問いを投げかけられ,それに対して正確な答えを述べるに至らなかった.これまでの座学や実習で筋緊張について学習はしていたが,全て受動的な学習であり曖昧な知識しかなかった.
そこで改めて筋緊張について自主的な学習をし,それを自分の知識として形作りたいと考えたので,“筋緊張”を自由課題のテーマとした.そしてそれに関与する分野についても一部触れることとした.



Ⅱ.筋緊張とは

1.筋緊張の語について
筋緊張という語は,英語でいうmuscle tonusあるいはmyotone,myotonia(医学英和大辞典より)にあたる.tonusとは医学的用語で緊張と訳され,また筋との関係を表す接頭語であるmy(o)-に,医学的に緊張力という意味をなすtoneがつく.

2.そもそも筋緊張とは
下記に筋緊張の定義とされるものを記載した.
・神経生理学的に神経支配されている筋に持続的に生じている筋の一定の緊張状態(多数の筋線維の単収縮の加重)1).
・骨格筋が何も活動していない時にも絶えず不随意的にわずかな緊張をしており,このような筋の持続的な弱い筋収縮2).
これらは神経学的あるいは生理学的に述べたものであるが,これが臨床的概念での表現になると次のようになる.
・安静時,関節を他動的に動かして筋を伸張する際に生じる抵抗感2).

3.なぜ筋緊張が存在するのか
筋緊張というのは生体の姿勢保持機構や体温調節機構に関与しており,特に姿勢保持機構は運動あるいは姿勢保持の際に活動する骨格筋の準備状態に重要な意味を持っている2).

4.姿勢に着目した筋緊張とは
ヒトが重力に対抗して動くためには目的活動に合わせて筋緊張を刻々と変化させる必要がある.このような抗重力的活動能力としての筋緊張を姿勢緊張(postural tone)という.正常な姿勢緊張は,抗重力的に姿勢を維持するのに必要な筋肉を組み合わせて,かつある高さの姿勢緊張を持ち,さらに変化できる筋緊張の幅を持っている.これによって身体の安定性と可動性が保障されている.
よって,正常な姿勢・運動には正常な姿勢緊張が背景となっている.つまり異常な姿勢緊張からは正常な姿勢・運動は得られない.中枢神経系の障害によって出現する異常な過緊張や低緊張は姿勢緊張の調整能力を失っている状態である3).

5.筋緊張を作り出しているのは
反射活動の結果として考えられていたが,それだけではなくフィードフォワード機構,フィードバック機構,固有受容性制御,覚醒レベル,生体力学系,筋肉特性などの要因によって影響を受けている3).

6.筋緊張をコントロールしているのは
筋緊張に影響を与える要因の中でも重要なのは固有受容性制御であり,この機能によって筋緊張が調節されている.その固有受容性制御には,姿勢調節や運動のための要素的プログラムとして重要な機能を果たしている固有受容性反射があり,その代表的なものが伸張反射である3).
それ以前に,筋緊張は6つの機能レベルによってコントロールされている2).

①運動野(Brodmannの第4,6領野)
②基底核
③中脳(網様体)
④前庭
⑤脊髄
⑥神経―筋系の働き

※①~④:上位中枢のコントロール
 ⑤,⑥:伸張反射による筋の緊張保持の働き(伸張反射の自動調節機構:α―γ連関)

7.つまり筋緊張の神経生理機構には
姿勢反射と伸張反射が大きく関与するとされている2).



Ⅲ.姿勢反射

1.まず姿勢反射について
姿勢反射とは,正常な姿勢保持や運動に必要となる正常な全身の筋緊張の反射性調節のことを言い,姿勢調節や姿勢制御に関与しており,正常な姿勢の保持・回復の制御機能を担っている.また,姿勢反射は環境に対する適応反応のひとつとして,姿勢制御機構に含まれている3).

2.姿勢調節とは
主に脳幹にある姿勢反射中枢で行われ,脊髄反射も姿勢維持に関与している.その脳幹の姿勢反射を調節する姿勢制御に関与するのが,小脳や大脳である.姿勢反射のなかで最も高度に姿勢制御に関与しているのは,立ち直り反応,平衡反応,保護伸展反応である.この立ち直り反応,平衡反応,保護伸展反応が統合されてバランスの機能である「身体重心をその支持基底面内に維持したり,取り戻したりする能力」を担っている1) 3).



Ⅳ.伸張反射

1.伸張反射とは
筋紡錘一次終末の伸張刺激からの求心性インパルスがⅠa線維を通って脊髄に入り,前角のα運動ニューロンに興奮作用が誘発される4) 5).Ⅰa線維は協力筋のα運動ニューロンにも単シナプス興奮作用を及ぼす.その他Ⅰa線維からの多シナプス経路や筋紡錘二次終末のⅡ線維からのα運動ニューロンへの単シナプス経路によっても誘発されるが,その作用は小さい.
特色は次の通りである4).
・脊髄ショック後に著明となる.
・後根切断で消失する.
・同側性の単シナプス反射である.
・Ⅰa線維を介する相動性反応と伸張刺激が持続している間に見られるⅡ線維を介する緊張性反応がある.
・遅筋は相動性と緊張性反応が見られるが,速筋は相動性反応が主である.
・屈筋には緊張性反応はほとんど見られない.

2.ではその伸張反射の作用とは
筋の長さを一定に保つ負帰還回路(negative feedback loop)の作用とみなすことができる.つまり「負荷の増大→筋が伸ばされる→筋紡錘が変形→Ⅰa線維の発射が増大→伸張反射が起こる→伸張された筋が収縮する→筋は負荷に対して短縮する→増大した筋紡錘からの発射とそれによる伸張反射が筋の短縮とともに現弱する→筋長が復元したところで平衡状態になる」という過程を辿る.負荷が減少した時は逆の変化が起こる5).

3.すなわち伸張反射の機能とは
筋緊張を維持し,筋の長さ(=関節位)を反射性に制御して,姿勢や肢位の保持をする5).

4.ここに関与しているのがα―γ連関
随意運動・反射運動ともにα経路とγ経路(Ⅰa線維によるもの)が同時に働く5).

5.具体的には
一定の負荷に抗して筋収縮を行っている時5)
・急に負荷が除かれる場合
 筋の短縮→筋紡錘の発射が低下→脱興奮→α運動ニューロンの活動は反射的に抑制
・負荷が増える場合
 筋紡錘の発射が増強→伸張反射によるα運動ニューロンの促通
すなわちこのα―γ連関の機構は随意運動中にも作用し,負荷の変化による影響を補償している.

図 α―γ連関

6.そのα―γ連関に関与するものがγ運動ニューロン
Ⅰa線維は主に伸張速度に比例(Ⅰa線維が核袋線維と核鎖線維の両者についた一次終末は筋が引き伸ばされつつある間,発射活動の頻度が一過性に増える:動的反応)し,Ⅱ線維は筋の長さに比例(Ⅱ線維が主として核鎖線維についた二次終末は一次終末と合わせて,筋を新しい長さに保持した際に発射活動が増大する:静的反応)して発射するが,その伸張速度や筋の長さの感受からの伸張反射の制御には,筋紡錘の錘内筋線維の支配を行うγ運動ニューロンが大きな役割をしている.γ運動ニューロンがα運動ニューロンと同時に興奮すると錘内筋が収縮して筋紡錘を緊張させるので,筋長の変化が検出されやすくなる.γ運動ニューロンには,動的応答に対するものと静的応答に対するものがあり,筋の伸張速度・筋の長さの変化に応答して筋紡錘の感受性を制御し,α運動ニューロンとともに運動の調節を行う1).
つまり錘内筋線維の適度な収縮(予備緊張)が錘外筋線維の筋緊張(姿勢・運動時)をコントロールしている.

7.ここで動的反応と静的反応の違いから
相動性伸張反射と緊張性伸張反射がある5).
・相動性伸張反射
 筋紡錘一次終末の動的反応の高頻度発射によって起こる.(健常人の腱反射がある)
・緊張性伸張反射
 一次終末と二次終末の静的反応による.(健常人でこれによる筋活動はない)

図 筋紡錘に分布する神経



Ⅴ.伸張反射以外の固有受容性制御

1.固有受容性反射(伸張反射)の他に筋緊張に影響を与える固有受容性制御は
「脊髄固有受容性姿勢制御に対する上位からの制御」と「脊髄固有系の制御」がある3).

2.脊髄固有受容性姿勢制御に対する上位からの制御とは(痙縮,固縮に強く関与)
筋紡錘の感受性に影響を及ぼしている上位中枢からの作用を協調的に調節している.この姿勢制御に関わる主な上位中枢に前庭系,網様体系,赤核系,皮質系がある3).

・前庭系
 姿勢の変化に対応してその姿勢を維持するための筋緊張を調節している.その筋緊張の調節における姿勢制御を迷路反射という.これは,前庭迷路(平衡を司る,耳石器,外側半規管,垂直半規管の三つの半規管の総称)が賦活された結果生じた求心性インパルスが前庭神経核に送られ,さらに前庭脊髄路と網様体脊髄路の一部を介して脊髄運動ニューロンへ伝達される.
 ― 前庭神経外側核からの外側前庭脊髄路:同側下肢伸筋の筋緊張を促通,屈筋の筋緊張を抑制.
  →外側核は小脳からの強い抑制の影響を受けている.
   外側核の興奮で固縮が強まり,破壊で固縮が弱まる.
 ― 前庭神経内側核からの内側前庭脊髄路:頸筋や体幹筋に対して促通性もしくは抑制性に作用.
  →空間における頭のコントロールに関与.
・網様体系
 ― 橋網様体脊髄路:脳幹網様体促通系として同側の伸筋支配のα,γ運動ニューロンを促通.
 ― 延髄網様体脊髄路:脳幹網様体抑制系として両側性に頸随および腰髄の屈筋支配のα,γ運動ニューロンを促通し,脊髄反射に対して抑制的に作用.
 ― 網様体賦活系:脳幹を上行する感覚伝導路側枝の入力→網様体興奮→大脳皮質に上行
         上行線維は視床下部,視床,辺縁系,大脳皮質の機能の制御に関与.
・赤核系
 ― 赤核脊髄路:上肢遠位筋を支配し,反対側屈筋の筋緊張を促通,伸筋の筋緊張を抑制.
        大脳皮質運動野から同側性に線維を受け,皮質脊髄路と同じ働きをする.
        小脳,基底核などからの入力が脊髄運動ニューロンに影響している.
 ― 視蓋脊髄路:主に頸筋を制御しており,視覚性の立ち直り反応に影響.
・皮質系
 随意運動に関与する大脳皮質の運動野,感覚野,前頭葉からの皮質脊髄路.途中大脳基底核や脳幹部にも線維を送りながら下行.脊髄で運動ニューロンへ投射していると同時に,1/3は後角の感覚の中継部にも作用し,末梢からのフィードバック信号をカットして不必要な反射を制御する.
 ― 外側皮質脊髄路:主に巧緻運動に関与する遠位四肢筋を支配している運動ニューロンに投射.
 ― 前皮質脊髄路:体幹筋や近位四肢筋を支配する運動ニューロンと介在ニューロンに投射.

3.脊髄固有系の制御とは
脊髄内にある介在ニューロンが,軸索によって各髄節間を上行性にも下行性にもさまざまな距離で作っている連絡網を脊髄固有路といい,これが脊髄内で自動性をもった独立機能系として姿勢・運動の協調性に役立っている.脊髄固有路の調整は,筋紡錘二次終末や皮膚,屈曲反射の感覚線維と上位中枢からの入力によって最終共通路で統合される.またサイズの原理によって姿勢の安定性や運動の巧緻的制御が行われている.3)

図 主な伝導路

図 脊髄運動ニューロンに対する上位中枢からの制御



Ⅵ.基底核―脳幹系

1.補足として基底核―脳幹系による筋緊張の調節6)とは
筋緊張の抑制系と促通系がある.
・抑制系
 中脳被蓋に存在する脚橋被蓋核のコリン作動性ニューロンに始まり,橋・延髄網様体脊髄路を下行する.さらに脊髄の抑制性介在細胞(Ⅰb介在細胞を含む)を経由してα運動ニューロン・γ運動ニューロン・介在細胞群を抑制する.
 ※抑制系は促通系の活動を抑制する.
・促通系
 モノアミン作動性下行路(青斑核脊髄路・縫線核脊髄路)が促通系として働く.
脚橋被蓋核は淡蒼球内節や黒質網様部から豊富な線維投射を受けており,基底核は抑制系の活動を調節するとともに,二次的に促通系の活動を変化させることで筋緊張を制御すると考えられる6).

図 基底核―脳幹系

図 基底核の機能



Ⅶ.筋緊張異常

1.それでは伸張反射の異常とは
伸張反射路を構成している要素の変化や上位脳からの影響によって起こる5).
ex. 筋や末梢神経の変性/運動ニューロンの細胞死→減弱,消失
  病的な原因による上位脳からの興奮と抑制のバランスの変化→減弱,亢進
  上位脳からの興奮の促進あるいは脱抑制→亢進

2.伸張反射亢進の脊髄メカニズム1)は
・求心性末梢神経の影響:Ⅰaニューロンの興奮性の増大
            シナプス前抑制機能の低下
            自己抑制(Ⅰb抑制)機能の低下
            相反抑制(Ⅰa抑制)機能の低下
・遠心性末梢神経の影響:α運動ニューロンの興奮性増大
            γ運動ニューロンの興奮性増大
            反回抑制機能の低下

3.ここで抑制機能とは
脊髄内抑制といわれるⅠa抑制(相反抑制),Ⅰb抑制(自己抑制),反回抑制,シナプス前抑制というものがある.4)
・Ⅰa抑制(相反抑制)
 相反神経支配に基づきⅠa線維が脊髄内で拮抗筋のα運動ニューロンの興奮を抑制する.
・Ⅰb抑制(自己抑制)
 筋伸張が強いとGolgi腱器官が興奮し,Golgi腱器官からのⅠb線維のインパルスが脊髄内で介在ニューロンを介して同側のα運動ニューロンの興奮を抑制するとともに,介在ニューロンを介して拮抗筋が収縮する.
 ※折りたたみナイフ現象:Ⅰb抑制(とⅡ線維による抑制機構)によると考えられている.
・反回抑制(Renshaw抑制)
 強い伸張反射時に,α運動ニューロンの軸索側枝から反回して抑制ニューロンのRenshaw細胞を介してα運動ニューロンの興奮が抑制される.
・シナプス前抑制
 拮抗筋のⅠa,Ⅰb線維を刺激しておくと,それらのインパルスが脊髄内で抑制ニューロンを介して作動筋のⅠa線維の軸索終末に接続してシナプス前抑制が生じ,α運動ニューロンが抑制される.

図 Ⅰa抑制(相反抑制)          図 Ⅰb抑制(自己抑制)

図 反回抑制(Rensaw抑制)          図 シナプス前抑制

4.伸張反射の異常の代表例5)
・痙縮(spasticity):相動性伸張反射の亢進が著しい→動的反応の亢進
・固縮:緊張性伸張反射の亢進が特に強い→静的反応の亢進
※痙固縮:臨床的には,相動性伸張反射の亢進に種々の程度の緊張性伸張反射が加わった状態が多い.

5.そもそも痙縮と固縮とは
痙縮と固縮のそれぞれの臨床的概念とされるものを下記に記載する.
・痙縮:急激に関節の受動運動を行う時に起こる筋の抵抗2).
・固縮:いかなる方向への関節の受動運動に対しても,初めから終わりまで同一の筋抵抗感が感じられる状態2).

6.では痙縮のメカニズムとは
痙縮の要因に関する病態生理2)を下記に記載する.
1.中枢神経系からの促通性下行運動経路の影響
 ・脳幹網様体の興奮性インパルスの増大
2.中枢神経系からの抑制性下行運動経路の影響
 ・脳幹網様体の抑制線維の障害による脱抑制
3.求心性末梢神経の影響
 ・同名筋からの抑制インパルス(Ⅰb線維・Ⅱ線維)の障害による脱抑制
 ・異名筋からの抑制インパルス(Ⅰa線維)の脱抑制
 ・シナプス前抑制の脱抑制

4.遠心性末梢神経の影響
 ・動的γ運動ニューロンの興奮性増大
 ・上位中枢からの相対的な興奮性増大
5.筋・腱の機能変化の影響
 ・生理学的・形態学的・組織学的な変化による伸張運動の抵抗の増大
1,2,3,4(2つ目),5は説明の通りである.そして動的γ運動ニューロンの興奮性増大には,いくつかの要因が挙げられる.錐体路の障害による,上位中枢からの相対的な興奮性増大や錐体路からの抑制(皮質脊髄路などは脊髄で運動ニューロンへ投射していると同時に,1/3は後角の感覚の中継部にも作用し,末梢からのフィードバック信号をカットして不必要な反射を制御する)が作用せず反射路の脱抑制となる.よって脱抑制により動的γ運動ニューロンがより興奮し,相動性伸張反射が亢進して痙縮となる.

7.では固縮のメカニズムとは
パーキンソン病に準じて記載する.
①黒質緻密部からのドーパミン分泌が低下→被核,尾状核(D1受容体)への促通が弱くなる→(直接路)→淡蒼球内節,黒質網様部への抑制が弱くなる→淡蒼球内節,黒質網様部からのGABAの分泌が上昇→上丘,脚橋被蓋核の抑制系への抑制が強くなる+視床への抑制が強くなる
②黒質緻密部からのドーパミン分泌が低下→被核,尾状核(D2受容体)で抑制されない→(間接路)→淡蒼球外節への抑制が強くなる→淡蒼球外節からのGABAの分泌が低下→視床下核への抑制が弱くなる→淡蒼球内節,黒質網様部への促通が強くなる→淡蒼球内節,黒質網様部からのGABAの分泌が上昇→上丘,脚橋被蓋核の抑制系への抑制が強くなる+視床への抑制が強くなる
①,② 7)によって基底核―脳幹系からの筋緊張の抑制系と促通系がアンバランスになって固縮が誘発される.また抑制系(橋・延髄網様体脊髄路)から抑制性介在細胞(Ⅰb介在細胞)へのインパルスが減少し,α運動ニューロン,γ運動ニューロンの脱抑制となる.よって脱抑制によりα運動ニューロンかつ静的γ運動ニューロン※がより興奮し,緊張性伸張反射が亢進して固縮となる.
※静的γ運動ニューロン単独の興奮性増加であるとは言い切れない.

図 パーキンソン病の運動系ループ

図 基底核からの筋緊張異常

図 基底核内の機能的結合



Ⅷ.筋緊張コントロール

1.では脳血管障害片麻痺の筋緊張コントロールとは1)
脳血管障害片麻痺患者に対するリハビリテーションの治療方法は様々な方法がある.病態を把握し,常に身体全体を見渡した中で局所の問題点を捉えること(姿勢と運動の関係)が重要である.そして下記のことを考慮する必要がある.
①適切な感覚入力の低下(そのひとつに筋緊張のコントロールの低下)し,パターン化された機能を制御することが困難になる.
 →パターン化された機能の制御には,運動の制御と脳の階層性が関与する.
  :自動性の性格が強い定型的な運動パターンは階層性の最下層.

   ex.脊髄や脳幹の反射中枢を介した反射による運動(パターンジェネレーター)
    =意識せずに行う運動や動作(意識して行う運動や動作の方が少ない)
②筋緊張の分類
 →神経原性因子(脳損傷による腱反射亢進,クローヌス,他動運動に対する抵抗)
  非神経原性因子(バイオメカニカルな変化と疼痛,代償や誤動作,環境や人格)
③痙縮に関する過程
 →急性期:筋が比較的弛緩している状態=肩甲帯後退や骨盤後傾
  痙性期:痙縮筋の出現=上肢は屈筋群,下肢は伸筋群の筋緊張が亢進
 →①ポジショニング,介助,動作の学習が不十分あるいは不適切.
  ②運動や動作を連合反応が支配
  ③この状態で経過すると非神経原性因子による短縮や拘縮が出現
  ④さらに経過すると痙縮の状態が悪化
  ⑤多大な代償が必要
  ⑥片麻痺症状特有の姿勢や動作(ウェルニッケマン肢位,分回し歩行など)が出現,習慣化
  ⑦最終的にADL能力が低下

2.上記の過程を考慮した治療の階層性1)
①急性期からの筋緊張に対する配慮が重要.
②肩甲帯後退や骨盤後傾の防止,四肢体幹のROMの維持,過剰代償動作の抑制が重要.
③非神経原性因子を作り出さない.
④脳の回復に伴って感覚系に対し適切な入力を行いながら,弛緩筋に対しては促通,痙性筋に対しては抑制を,患者自らがコントロールできるように導くことが重要.

3.筋緊張のコントロール1)
・相反抑制・相反神経支配と連合反応
 ①相反神経支配機構における高位中枢の制御が不十分で相反抑制が正常に働かない
  (相反神経支配機構:相反抑制をより高位中枢機能が調節する機構)
 ②患者の過度な努力や異常な精神状態において痙縮がより亢進
  =連合反応:ある筋に強い収縮をさせると他の筋に収縮を誘発させる現象.
 ③動作の遂行を妨げる結果になる
  つまり過度な努力などが生じないように適切な環境設定を準備することが必要.

・神経原性因子に対するコントロール
 ベース:筋緊張亢進には抑制,弛緩には促通
     失調やバランス障害には協調的(段階的)収縮の獲得
 いかに正常動作に近づけるためのコントロールを加えるかが重要.他動的手技による静的場面のみだけでなく,随意的動作の中で動的場面のコントロールを行うことが必要.つまり過剰な代償動作を抑制し,症状に応じて随意的動作の中で感覚入力を行いながら治療を行うことが必要.
・非神経原性因子に対するコントロール
 a 筋や皮膚などが柔軟な組織になるように治療.
 b 環境によって身体の動きを制限するなどして不快感を与えないことが重要.
 c 異常筋緊張の下でのパターン的な動作ではなく,脳の回復状況による適切な代償の学習が重要.
・筋緊張のコントロールに必要な基本的な動作と介助
 a ポジショニング
  :正常な相反神経支配機構の再現による神経機能回復の促進
   非神経原性因子の構成の防止
 b 基本動作
  :肩甲帯後退,骨盤後傾の防止と過剰代償動作の防止
   麻痺側を無視しない動作
   動作時,体幹筋の活動に影響する頭頸部の動きに注意し介助や治療を行うことが重要.
 c セラピストの技術
  :操作の方法(不快感を与えない)
   他動的治療(非神経原性因子を除く,神経原性因子を誘導し過ぎない)
   コマンド(精神的安定)
   介助(過大でなく恐怖感を与えない適切な位置での介助)



Ⅸ.今回筋緊張や痙縮・固縮について考えてみて
筋緊張から痙縮・固縮までの神経学的なメカニズムを把握することにより,脳血管障害片麻痺の筋緊張コントロールのアプローチ視点が理解できたように感じた.しかしいくつかしっくりこない定義や仮説もあり,そのメカニズムは非常に複雑で難解であるように感じた.また,それらの知識を臨床場面においてどのように活用あるいは応用するのかを経験しなければ,実践に活かせる知識になり得ないとも思った.
そして一文献から「痙縮という臨床症状を神経学的損傷に基づいた症状として捉えることには無理がある」8)や「環境との相互関係のなかから発達させた筋緊張の仕方が痙縮なのだと生態心理学的な捉え方を導入して理学療法を検討した」8)との記述があった.また,アフォーダンスや知覚システムの関与についても述べられており,これらについても関心があるため今後の課題となると思われた.



 参考書籍・文献

1) 後藤 淳:筋緊張のコントロール.関西理学療法学会,2003,pp21-31
2) 松澤 正 著:理学療法評価学.金原出版,2006,pp174-176
3) 細田 多穂,柳澤 健 編:理学療法ハンドブック[改訂第3版]<3巻セット> 第1巻 理学療法の基礎と評価.協同医書出版,2006,pp197-202
4) 石澤 光郎,冨永 淳 著:標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 生理学.医学書院,2007,pp154-157
5) 本郷 利憲,廣重 力 監:標準生理学.医学書院,2005,pp328-339
6) 高草木 薫:大脳基底核の機能;パーキンソン病との関連において.日生誌 Vol.65 No.4・5,2003,pp113-129
7) 川平 和美 編:標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 神経内科学.医学書院,2007,p76
8) 冨田 昌夫:特集/痙縮治療実践マニュアル 痙縮に対する理学療法.MB Medical Rehabilitation No.43,2004,pp13-21






以上でございます。

参考書籍・文献のまとめのようなものですので

参考書籍・文献の著者の皆様にはご理解頂きたいと思います。

図はなくて申し訳ございませんが

決してレポートの写しなどのつまらないもののためではなく

何か有効な資料として参考になれば幸いです。
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いやー素晴らしい!

もっと素晴らしいのはこれを作った時は学生だったという所がもっと素晴らしい。
逆に言えば、今の学生でもこのレベルの資料作成能力を秘めているという事!

それらがネット上に公開され蓄積されていく。これこそ文化の発展だね!

Re: タイトルなし

> いやー素晴らしい!
>
> もっと素晴らしいのはこれを作った時は学生だったという所がもっと素晴らしい。
> 逆に言えば、今の学生でもこのレベルの資料作成能力を秘めているという事!
>
> それらがネット上に公開され蓄積されていく。これこそ文化の発展だね!

ありがとう!
これからもこうゆうのを載せていけるとイイなと実感。

今、無理!!

これはまた読むから!!

理由はノロウイルス。。。

Re: 今、無理!!

> これはまた読むから!!
>
> 理由はノロウイルス。。。

いつでもOK!
アップしたものは半永久保存だし♪
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